ビッグデータの価値

ビッグデータといえば、これからの技術トレンドの中でも重要度が高いとされているものです。そのビッグデータの価値について、興味深い記事をみつけました。

オープンソースはビッグデータの基礎であるかもしれないが、投資家達にとって決め手になるものではない。

これまで上げられてきた実績は大きな見返りというにはとても足りないものだが、投資家達はオープンソース系のスタートアップ企業に投資するのをやめていない。

Wall Street Journalが報じるように、110のスタートアップ企業が2015年にベンチャーキャピタルから受けた投資額は、少なくとも70億ドルになり、これは2013年と比べると100%の増加となる。

中でも最も注目を集めている企業たちはビッグデータに着目しており、DataStax、Cloudera、MongoDBといった企業は増収を続けている事から10億ドル規模の評価を得ている。だが投資信託の記録およびDow Jones VentureSourceからの情報によれば、商用のビッグデータソフトのスタートアップ企業はさらに熱い注目を集めているという。

これはある意味驚きだ。というのもビッグデータ技術のほとんどはオープンソースによるものだからだ。どうもからくりは、これらをどう収益化するかというところにありそうだ。

オープンソースの価値を上げる

Hortonworksはオープンソースのビッグデータ企業を評価する唯一の公的なベンチマークだ。

かつて10億ドル規模の評価を得ていた中、公的な機関に路線変更したが、これを書いている時点でその評価は6.38億ドルまで下落している。

多くの投資家達はHortonworksの評価に疑問は根強い。というのも、同社の完全にオープンソースなビジネスモデルは成り立たないのではないかと懸念しているからだ。HortonworksがRedHatやOracle、Salesforceなどの他の比較対象と比べ、はるかに早く収入1億ドルを達成した事を比べると皮肉な事だといえる。

オープンソースビジネスに対する懸念は他の企業も同じく抱えている。MongoDBもその一社で、投資信託からの評価額はこの2年で30%の下落を見せている。

商用ソフトへの無料招待状

ビッグデータ企業が商用ソフトの違いに目を向ければ向けるほど、投資家達はオープンソフトをこれらへの無料招待状として活用しようとする向きがある。

Clouderaを例に挙げよう。これはおそらくHortonworksに最も近い事例だ。どちらの企業もHadoopディストリビューションを提供しているが、Clouderaは自社のオープンソースプラットフォームを充実させるための商用アドオンも提供しようとしている。その結果、この2ヶ月で未だ非公開の株価は投資家達によって75%も上昇した。

 

完全にオープンソースである事からは手を引いたが、評価額は上がったというわけだ。ビッグデータ分析のスタートアップであるDomoはHadoopがビッグデータ業界の王座に君臨している事に疑問を呈している企業だが、オープンソースの流れに抗っているにもかかわらずここ二カ月で評価額が90%上昇した。

 

あるいはPalantirを例に挙げよう。ここのソフトウェアは大量のデータからパターンを掘り起こすために使われている。Palantirはオープンソースを利用し、また大いに貢献もしているが、商用ソフトを売る事で利益を上げている。その見返りとは何だったのだろう? 2012年第三四半期と比較して株価が1.5倍になったことだ。

 

 

フリーソフトを売る以上の事

これらの事例はどれも商用ソフトがオープンソースより優れているという事を示しておらず、15年以上オープンソース企業に勤めている私としても、その様な事は考えられない。

だがこれらはオープンソース以外の何かを売る事が、オープンソースを収益化するための道だという事を示してはいる。

Wall Street Journalの元アナリスト Peter Goldmacherは数年前にこの事を指摘しており、「ビッグデータのゴールドラッシュ」でリッチになるのは「非常に難しいテクノロジをユーザーフレンドリーなフロントエンドで抽象化できるアプリおよびアナリティクスのベンダー」あるいは、「データを使って新たなチャンスを生んだり、既存のビジネスモデルを覆す機会をつかんだ人」だと言っている。

Palantirは前者のケースに当てはまり、後者はFacebookやUberなどが例に挙げられるだろう。

Hortonworksの戦略副社長 Shaun Connollyが前述の記事で述べているように、ビッグデータのエコシステムにおける価値がどこにあるのかについて投資家達が完璧な予測を持ってるわけではない。だが彼ら自身はビッグデータに投じられる資金がどこに流れているかを
示すいい指標だ。

オープンソースはほぼすべてのビッグデータ企業にとっての主要な仕事道具だが、そこに商用的な価値が加えられればより多くの売り上げにつながる事だろう。

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