駅員、自動体外式除細動器で迅速手当て 「心肺停止」男性救う
大江戸線駅内「訓練の成果出た」
駅で尊い命が救われた。東京都新宿区の都営大江戸線の都庁前駅内で十六日、自動体外式除細動器(AED)を使った駅員の迅速な手当てで、心肺停止だった都内の男性(65)が一命を取り留めた。AEDは心臓に電気ショックを与え、心機能を回復させる機器だが、対応が遅れると救命率が下がる。一般人のAEDによる救命は都内では初めてといい、時間との勝負に、駅員たちは「訓練の成果が出た」と話している。
男性が駅のエレベーター付近で倒れたのは十六日午後一時二十五分ごろ。都交通局都庁前駅務管理所の堀口定和副所長(57)ら駅員四人は男性に心臓マッサージを繰り返しながら、一月に駅に設置したばかりのAEDを使うことを決断した。
心停止後の救命率は一分ごとに7?10%ずつ下がる。既に二、三分が経過していた。堀口副所長らは、使用法の講習を思い出しつつ、電気パットを男性の胸に当て電気ショックを与えた。再び心臓マッサージを続けると、男性は「ブォー」と大きく息を吹き返した。男性は病院に運ばれ、現在のところ命に別条はないという。心配そうに見守っていた男性の妻は、「(倒れたのが)駅でよかった」と話した。
AEDは一般使用が認められた後、教育機関や駅など全国の公共施設に設置されつつある。昨年六月には愛知万博で、医学生四人が心肺停止の男性を救命した例がある。
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【用語解説】自動体外式除細動器(AED)
心臓の心室が不規則にけいれんし、血液を送り出せなくなる「心室細動」が起きた場合、電気ショックを与え、心臓のリズムを正常に戻す機器。使用は医療従事者に限定されていたが、救急車の到着まで時間がかかるため、平成16年夏から一般使用が解禁された。
(産経新聞) – 3月17日2時46分更新
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Yahoo!NEWSより転載