メールって、維持するのに苦労しているよ。っていう話
最近は、SNSのメッセージ機能が台頭してきてちょっと影が薄くなりつつ、コミュニケーションの基盤としては、重要な「インターネットメール」そのシステム維持には、大変な苦労があるようです。
この記事は、結果的にはクラウドのメールサービスであるGoogleAppsの紹介につながっているのですが、そこに至るまでの間、メールシステム維持にかけた苦労が記事になっています。
マイナビはインターネットの黎明期から、ITを活用した様々なサービスを展開していた。当時は、インターネットを利用するのであれば、自社でサーバーを用意し、システムを構築し、それらを自分たちで運営していく方法が普通だった。というより、それ以外の選択肢はなかった。
マイナビのように、ネットサービスを生業にしている企業の場合、ネットワークのシステムは命綱のようなものだ。万が一、これが止まってしまうと、サービスが停止してしまい企業としての存続すら危ぶまれてしまう。
システムを止めないために、必要に応じてサーバーを増強し、時には外部からの協力も得ながらシステムを改良して、業務に影響が出ないようにする。それが、業務システム統括部の主な仕事だった。だが、それが徐々に限界に近づいていた。
そうです。昔は、メールサーバは個人はプロバイダーで管理して、企業などでは自社のメールサーバを運営していました。今でも、多くの会社では自社のメールサーバを運営してる会社もおおいですよね。
急増するアカウントとメールデータ。容量オーバーによるサーバー停止の危機
当時のマイナビは、業務の拡大を進めている最中で、年々従業員数が増えていた。従業員には、ひとりずつメールのアカウントが付与される。人数が増えれば、当然のごとくサーバーの容量を圧迫する。
近年増加する一方のメールデータ量も問題だった。メールに画像を添付する場合、数年前は1MB程度が主流だったが、最近では3~4MB程度のファイルサイズが普通にやり取りされる状況になっている。またHTMLメールのように、メールそのものがリッチとなりデータが大きくなってしまっている。
更に大きな問題なのがスパムである。現在では、インターネット上に流れているメールの半分がスパムだとの話もある。特にマイナビの場合、サービスの都合上、オープンにしているメールアドレスが多く、スパムの標的になりやすい。そして2010年に最初に危機が訪れる。急増するアカウントとメールデータにサーバーの処理が追いつかなくなってきたのだ。
いつからでしょうか。メールに添付するファイルサイズが大きくなってきたのは。昔は、1MBを越えるファイルを添付するのはマナー違反みたいな話が結構ありましたが、最近は添付ファイルで数MBというのも珍しくなくなりましたね。
気の休まる時のない日常。不安とプレッシャーに押しつぶされる業務システム部員
サーバーの限界が見えていても、メールシステムの停止は許されない。業務システム統括部のメンバーは日々苦悩する。状況を改善するために、彼らはまず、毎日のメール使用状況のチェックから行った。
当時のシステムでは、受信したメールはクライアント側にダウンロードし、サーバーから削除することを推奨していた。だが、これを実行できていない社員もかなりいた。データをサーバー側においておけば、PCにトラブルがあっても、後で再受信ができる。そのため、サーバー側に残しておきたいと思う社員も大勢いた。
「そういう人たちには定期的に警告を発していました。サーバーに負荷を与えるから、メールを削除して欲しいと」
このような警告を発すること自体が、システム部員としては大きなストレスである。また、使用状況は日々変化するため、チェックや確認は常に行う必要があった。
「当時は、深夜や土日でも、メールの使用状況やサーバー負荷状況を確認していました。そこまでしなくてもよかったのかもしれませんが、万が一を思うと気になってしまって仕方がありませんでした」
このようなストレスに悩まされながらも、2010年の危機はサーバーの増強とシステムの改良で乗り切った。
だが休む間もなく危機が訪れる。対策を講じて、2年も経たない2012年初頭、メール送受信の遅延が発生し始めたのだ。通常の業務時間であれば数秒程度の遅延だった。だが、朝の出社後の時間帯や、営業職が戻ってきてメールのやり取りが活発化する夕方には、目に見えるレベルの遅延が現れていた。
メールの送信が重くてエラーが出ると再送となり、届くのが1時間後となったケースもあった。緊急を要するメールが1時間も遅れては大問題である。このような事態に、業務システム統括部には非難が集中することとなった。
「あの時は、社内では針のむしろ状態でした」(薄井)
このように、業務システム部員の努力で、システムはギリギリで持ちこたえてはいた。だがそれは、いつ止まってもおかしくない状況でもあった。
決断の時。自営からクラウドへの抜本的な改革で事態を突破
2012年当時、マイナビの社員数は1,700人となっていた。これは2005年と比べると3倍近い。そして、今後も増えていくことだろう。同様に、メールのデータ量も大きくなっていくことは間違いない。付け焼き刃的に、サーバーを増強していく方法は、どう考えても限界である。このような状況におかれ、薄井は決断を下す。
「苦労してサーバーを増強しシステムを改善しても、わずか2年で限界に達する。このような負のスパイラルから抜け出すためには、サーバーの自営を止め、クラウドに移行するしかない」
このような苦労から解放されるためにGoogleAppsというクラウドのメールサービスを使い始めたということですが、クラウドのメールサービスもいくつもあってどれが良いかまよってしまいますね。
実際は、GooleAppsかoffice365のどちらかを選択するか、小さい会社であれば独自ドメインが使えるレンタルサーバのメールシステムを使うかになっていると思います。
ただ、メール運営の自由度を考えると自社メールシステムにもメリットがあるので、うまく使い分けるのがベターなのではと思います。